SARS-COV-2-Sで測定した抗体価の解釈について
*以下のお話しは、SARS-COV-2-Sで測定した抗体価に限ったことです*

  1. 0.8以上で陽性=抗体あり
  2. 概ね抗体価が高いほどウイルスに対する防御力も高いと考えられます
  3. 新型コロナウイルスに罹った人は、この抗体価の平均値は100位になるようです1)
  4. 新型コロナウイルスに罹った人は、15以上あると中和抗体が陽性になるようです2)
  5. ワクチン接種後の中和抗体はばらつきが大きい3)


抗体とは、我々の血液の中にあるタンパク質の1種で、病原体にくっついて、やっつける働きをします。

ある病原体に感染すると、免疫が反応して、感染数日後からその病原体に対する抗体が産生され、その病原体を排除することが出来るようになります。
コロナワクチン(ファイザー、モデルナ)を接種すると、コロナウイルスの表面にある「S(スパイク)蛋白」に対する抗体ができます。
SARS-COV-2-Sでは、このS蛋白に対する抗体を測定しています。
抗体の中には実際にウイルス感染を抑えることの出来る抗体=中和抗体とそうでない抗体があります。中和抗体の測定は複雑な手順が必要です。
S蛋白抗体の数値=中和抗体ではありません。S蛋白抗体価と中和抗体価の相関関係から推測しています。S蛋白抗体価が100位ですと
中和抗体陽性の人もいれば、陰性の人もいます。さすがに1000以上だと100%中和抗体陽性です2)。メーカーによれば、0.8以上あれば中和活性もあると報告されています4)

実際のところ、S蛋白抗体がどの位高ければ感染しないか、どの位下がると感染してしまうか?は不明です。また人間の免疫は抗体だけではないので
抗体価だけで判断することは出来ません。今後の知見が待たれるところです。

1)Antibody response to first BNT162b2 dose in previously SARS-CoV-2-infected individuals Lancet. 2021 Mar 20;397(10279):1057-1058
2)https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/041200/d00203179_d/fil/vacctin1.pdf
3)https://www.murayama-hosp.jp/staff/secretary/sec090.html
4)https://diagnostics.roche.com/jp/ja/products/params/elecsys-anti-sars-cov-2-s.html