BMIが25以上を「肥満」と呼び、肥満による健康障害がある場合ないし高度の肥満を「肥満症」と呼びます。
今までも保険が効く肥満症のお薬はありましたが、効果がはっきりしないものが多く、また効果があるものとして胃縮小術がありましたが、手術ですから踏み切れない方が少なくありませんでした。
今回、体重減少効果が高いお薬が出ました。
- ウゴービの適応
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合
①BMIが27kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害※を有するもの
②BMIが35kg/m2以上
※肥満に関連した健康障害
耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
脂質異常症
高血圧
高尿酸血症・痛風
冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症
脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作
非アルコール性脂肪性肝疾患
月経異常・女性不妊
閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
運動器疾患 :変形性関節症(膝・股関節)・変形性脊椎症、手指の変形性関節症
肥満関連腎臓病 - マンジャロ
極めて体重減少効果が高いお薬です。数値の上ではウゴービより効果があります。
ただマンジャロは保険診療上「糖尿病」のお薬ですので、他の肥満症では保険診療となりません。
ウゴービはGLP-1受容体作動薬、マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬と言います。ともに週1回注射をします。自宅で自分で注射する事が出来ます。
GLP-1、GIPというのは消化管から分泌されるホルモンです。食事を摂取するとこのGIPとGLP-1が分泌され、体内では次の事が引き起こされます
①インスリン分泌が促されて、血糖値が正常範囲内に保たれます
②脳の満腹中枢に作用して、「もうお腹が一杯だから、食べるの止めよう」という気になります
③胃の動きが遅くなります
ですので、この注射をすると、何となくいつも食後のような気分になって、自然に食事摂取が減り、体重が減るようになります。注射の量にもよりますが、最大で約10%の体重減少効果が報告されています。副作用として、頻度は多くありませんが、低血糖。また上記③によって、胃のむかつきが出ることがあります。
マンジャロは当院で既に数名の方に投薬しておりますが、
「何となく、いつも食後のような感じ」とのことです。
気になるお値段ですが、
マンジャロ2.5mg(初期投与量)1,924円
マンジャロ5mg(通常量)3,848円
月4回注射で、15,392円=3割負担の方で4,618円になります(別途診察料あり)。
血糖コントールの状況に応じて最大15mgまで注射量が調節できます。
ウゴービはまだ販売されておりません。
関心のある方は、お早めにご相談ください